選手による違い
競艇は選手ごとに支部へ所属して、特定の地域を中心に活動をしています。
また、選手は4つのランクに分けられていて、勝率など獲得したポイントに応じて半年ごとにクラスが分けられています。
全国で競艇選手は約1,600人にいるので全員を覚えるのは難しいですが、ランクを見るだけで選手の実力を把握することができます。
競艇選手のランク
競艇にはA1級、A2級、B1級、B2級の4つのランクがあります。
一番下のB2級以外は、最低条件と定員数が決まっていて、基本的には成績上位から順番に上のランクに振り分けられます。
それぞれのランクの条件は以下の通りです。
A1級:全体の上位20%、2連対率30%以上、3連対率40%以上、事故率0.7以下、出走回数90回以上
A2級:定率20%、2連対率30%以上、3連対率40%以上などA1級と基準はほぼ同じ(A2級の出走回数は70回以上)A1級の基準を満たす中で成績の低い分類
B1級:定率50%、勝率2.00以上でA1級、A2級に入れなかった者、事故率0.7以下、出走回数50回以上
B2級:上位3ランク以外の者、出走回数50回未満、事故率0.7%超えは無条件でB2級
SGレースに出走できるA1級選手の平均1着率は20%ほどとなります。
事故率とは
レースにおける違反のことを「事故」と呼び、内容によって以下の通り事故点数が選手に加算されます。
- 優勝戦のフライング、出遅れ:30点
- フライング、出遅れ:20点
- 反則失格(妨害等):15点
- 選手責任の失格・欠場(転覆・落水・不完走等):10点
- 不良航法:2点
- 待機行動違反:2点
事故率は事故点数を出走回数で割ったものです。
フライングや出遅れなどの重大な違反行為には、ランクや累積点数に応じて、出場停止、スタート訓練の再受講、引退勧告など厳しい処分が下されます。
支部による実力差や適正
関東、関西、東海、近畿、四国、中国、九州の7個の地区、その中で競艇場のある都道府県ごとに支部があります。
競艇選手は基本的に希望する好きな支部に所属できます。
だいたいは選手自身の地元など、居住地に近い支部に所属するものですが、地方の選手が市場規模の大きい東京や大阪など都会の支部に所属するケースもあります。
選手は基本的に所属する支部の中でレースを繰り返して、成績上位になるとSGやG1など重賞への出走権を得ることができます。
また、A1級など優秀な成績を収めると、他の支部や地区から招待選手として呼ばれることもあります。
競艇選手は連対率などでランク分けされるため、支部のメンバーなど相手のレベルによってもランクが変わってきます。
東京、大阪、愛知、福岡など、大きな都市の支部から出る選手のビッグレースでの成績が良いことからも、単純なランクだけでは計れない部分があることがわかります。
競艇選手の師弟関係
競艇選手にはそれぞれに師弟関係が存在します。競艇の師弟関係は他の競技よりも強い絆があると言われています。
それは2012年まで続いていた持ちペラ制度が関係しています。
持ちペラ制度で生まれたグループ
1998年から2012年まで導入されていた持ちペラ制度では、個人で購入したプロペラを使い、金属製のハンマーで叩くなどして独自に加工することができました。
良いプロペラを作るには技術や資金が必要で、競艇選手の多くはグループになってプロペラの共同開発や情報共有をしていました。
新人は所属先の先輩に弟子入りをして、プロペラ作りやその他のノウハウを学ぶ、というのが通常の流れでした。
持ちペラ制度の廃止後
2012年に持ちペラ制度が廃止され、節ごとに抽選でモーター(ペラを含む)を、競艇場が選手に貸し出す制度に変わりました。プロペラの調整は決められた場所に限定され、持ち帰りが禁止となったのです。
さらに金属ハンマーが禁止され、木製ハンマーしか使えなくなるなど調整できる範囲が大幅に制限されました。
グループなど組織でプロペラ調整をする利点を失ったため、弟子を持たずに1人で調整をするベテラン選手も増えています。
競艇選手の体重調整
競艇選手には男性51kg、女性47kgという最低体重制限があります。
一般的には最低体重に近い状態がもっとも有利とされていて、選手は常に最低体重に近づけられるように体重調整をしています。
体重による優劣
体重が軽いとボートの加速力がアップします。最高速にも若干の差が出ますが、スピードを殺さなければ体重が重くても善戦は可能です。
あくまでもセオリーは最低体重に近い状態の方が有利、とされていますが、それほど単純ではありません。女性選手の方が軽いケースが多いにも関わらず、SGを制覇した実績がないことからもそれがわかります。
腕力と体重移動を使ってコーナーを旋回するため、過度な減量をして力を出せなくなると良い結果を残せません。
三重支部の矢橋成介選手(2019年3月現在B1級)はプロフィール体重が61kg、レース出走時の体重も毎回60kg前後です。
トップ選手ではないですが、体重が重たくてもスピードを殺さないレース運びをすることで、10kg前後軽い選手を相手にしてもコンスタントに勝利を挙げています。
また、体重が重いと水面が荒れた時にもボートが安定しやすい、というメリットもあります。
静水面になるほど軽い方が有利で、荒れた水面になると体重の重い選手が好走するケースが増えます。
最低体重を下回った場合の調整
最低体重を下回ってしまった場合は、500g単位の重りを身体に付けてレースに出ることになります。これはボート上での動作に悪い影響が出ます。
500g程度なら大きな影響はないですが、1kg以上の重りになると選手の動きが悪く精細の欠くレースが増えてきます。