競艇の2つの旋回方法「モンキーターン」と「地蔵乗り」

モンキーターンは、ボート上で立ち上がって前傾視線を取る旋回スタイルです。対義語として膝をついてバランスを取る地蔵乗りがあります。当初は危険な乗り方とされていましたが、習得した選手が結果を出したことで広まって現在は主流の乗り方に変わっています。

モンキーターンとは

モンキーターンを行う競艇選手

モンキーターンとは競艇選手の代表的な旋回方法で、競馬のジョッキーが中腰で乗るモンキー乗りとスタイルが似ていることから名づけられました。
マンガとアニメの「モンキーターン」の影響もあって、非常に有名なテクニックになっています。

競艇の2つの旋回方法

モンキーターンは、ボートの上に立ち上がり、腰を直角もしくはさらに深い角度で曲げて前傾姿勢で立ち上がる形を取る旋回方法です。
外側に荷重がかかって通常のターン高速旋回が可能になることで、現在は高速ターンの必須スタイルとして確立されています。

モンキーターンも選手によって若干スタイルが異なりますが、膝を上げて立ち乗りスタイルになるもの全体の総称とされています。
通常のターンは膝立ちの状態になって、膝で体重を支えてボートに体重をかける乗り方で「地蔵乗り」とも呼ばれています。
現在はほぼ全ての選手がモンキーターンを活用しています。

小回りを求めるなら地蔵乗りの方が優れていますが、レースや展開によってスタイルを使い分ける選手は少ないです。
走行中にモンキー乗りと地蔵乗りのポジションを切り替えるのは危険なので、モンキーターンを習得した選手は基本的に全てのレース、全てのターンでモンキーターンを活用しています。

モンキーターンの歴史

モンキーターンは1990年前後から普及しました。
飯田加一が先駆者とされています。当初は転覆の危険性が高く、失敗すると膨らみすぎてロスをすることから、他に真似をする選手は少なかったです。
実際に飯田選手もモンキーターンを使い始めた当初は頻繁に転覆していました。
それでも飯田選手は時間をかけてモンキーターンを習得していき、勝つレースではボートレース場の最高タイムを記録することも度々見られました。

結果が出ていくにつれて若手を中心に真似する選手が増えていきます。

1993年の総理大臣杯で植木通彦選手が、モンキーターンを駆使した選手としては初めてSGを獲得したことをキッカケに主流の旋回方法へと普及していきます。
養成所では危険な乗り方として教えていませんでしたが、現役選手で扱う人が増えたことを受けて、養成所でもモンキーターンを教えるカリキュラムが加わりました。
現在は養成所を卒業した新人でもモンキーターンを操るのが当たり前になっています。
モンキーターンが普及する前にデビューしたベテラン女性ボートレーサーは未だに地蔵乗りしかしない人もいますが、時代の変化とともにモンキーターンをしない選手は少なくなっています。

競艇は経験も重要でベテランの方が安定する傾向がありますが、モンキーターンの普及した当時は地蔵乗りにこだわるベテラン選手が結果を出せなくなった時期もありました。

なお、マンガのモンキーターンの連載が始まったのは1996年で、その当時はモンキーターンは限られた選手しかできない技で、トップ選手になるには習得必須のテクニックとして捉えられていました。