競艇のレースの流れ-スタート前の駆け引きとは

競艇のレースの流れは、展示航走、決勝レース前のピットアウトおよびコース取りから、展示タイムで見るボートの速さなど予想する要素が多数あります。1レースは600mのコースを3周する2分弱のレースですが、スタート前から勝負が始まっています。

レースの流れ

競艇のレース風景

競艇のレースの流れは以下のとおりです。

  1. 展示航走(スタート展示)
  2. 発売開始
  3. 展示航走(2周回展示)
  4. 発売締切
  5. ピットアウト、コース取り
  6. 決勝レース(スタート→3周→ゴール→確定)
  7. 払い戻し

競艇予想はマシンおよび単独走行の速さと、展開や位置取りの双方が重要です。
競艇では最内の1コースが圧倒的に有利とされていて、待機時間後のピットアウトでコースが決定されます。

どれだけ腕が良くてマシンが早くても、コース取りやスタートが悪くて序盤に出遅れると巻き返すのが困難です。
展開を先読みするためにもスタート前のの展示航走が重要になります。
予想で参考になるポイントを交えながら、レース全体の流れを解説します。

展示航走の内容と見方

黒板に書かれたポイント

展示航走はボートや選手の状態だけではなく、戦略を読み取ることもできます。
一部で展示航走では戦略を隠すために偽りの方法を取り、決勝レースでは違う戦法を取る選手もいます。

しかし、レースの時間帯ごとの水面の状態にもよって僅かな差が出ますし、フライング寸前の絶好のスタートを取るには繊細なテクニックが必要です。

多くの選手は決勝レースを見据えたポジションやスタート展示を実践しています。

スタート展示

スタート展示は、本番のスタートと同様にコース取りから行われます。
競艇では、ピットアウトしてから先着順で好きなコースに入れます。
大半のケースでは、枠順通りにコースへ入る「枠なり侵入」になりますが、外枠の選手が内枠に割り込む枠なりが崩れる展開もあります。
また、スタートラインを早く通過するだけではなく、スピードに乗せているかも重要になります。つまり、スタート展示で見るポイントは以下の3点です。

  • コース取り(枠なりくずれの有無および、決勝レース時に内枠を狙いそうな船の有無)
  • 助走距離
  • スタートラインを通過する時のポジションとスピード

スタート展示は基本的に全員がスロットル全開で走り、フライングをする選手も見られます。
スタート展示の内容が悪いと本番で修正するのですが、修正能力も選手によって異なります。

新人など経験の浅い選手はスタート展示の内容が悪いと巻き返すのが困難になります。
スタート展示をした後に各選手の期待値が変わることもあり、競艇は事前予想のオッズと実際に発売されてからのオッズが大きく変わるケースがあります。

スタート展示を失敗した選手の巻き返しは?

スタート展示はあくまでも練習なので、フライングや1秒以上の遅れを取ったとしてもペナルティなどはありません。
スタート展示で失敗した場合は本番で多少の修正を行います。しかし、フライングの罰則が重たい競艇では、スタート展示で失敗した(距離感を掴めていない)選手が好スタートを切ることは稀。逆にスタート展示で好スタートを切った選手は、本番も同様のタイミングでスタートを切れるという期待が高まります。
予想する上ではスタート展示の内容が良い選手を重視するのがセオリーです。特に直近でフライングをしている選手はペナルティリスクを回避するため守りに入りやすいので、スタート展示を参考にする際は失敗した選手の事故歴まで確認しましょう。

2周回展示

スタート展示が終わると1号艇から順番に2周ずつ順番に走ります。
2周目のバックストレッチのスタートライン延長線から2マークまで150mのタイムを計測したタイムを展示タイムとして公開されます。
展示タイムが良いと伸びが良くて単独走行時走りの速いことを意味します。
レース結果にも直結する重要な指標になり、展示タイムが良ければ展開が有利になった時に独走したり、後ろからのスタートでも順位を上げられる可能性が高いです。

競艇は全艇の展示タイムが出揃ってから予想するのがセオリーです。タイムだけではなくコーナリングの綺麗さなどもポイントになります。

待機行動と駆け引き

展示周回が終了すると、再度ピットに入り選手は待機時間を過ごします。
スタート前になるとピット離れをするのですが、インコースを取るため単純に早くピット離れをすればいいものではありません。
一部では枠なり進入を義務づける進入固定競走もあります。
進入固定競走ではコース取りを判断する要素がないので、好スタートを切れるかだけで判断しましょう。

待機行動の難しさ

選手目線で見た待機行動の難しさは以下の2点です。

  • コース取り
  • 適切な助走距離の調整

競艇で各選手が走るコースは枠順通りで決まるものではなく、各選手がピット離れをしてからの先着順で決まります。(進入固定競走を除く)
あくまでもルール上の話をすれば、6号艇が1コースに入ることも可能です。
コース取りで前付け(枠順より内側に入る)の難しい理由は、競艇のボートにはブレーキがなく、エンジンがかかっていると少しずつボートが前に進んでいまうという特性に起因します。
インコースを取るために強引に前に入ると、スタート前の待機時間で少しずつボートが前に進んで助走距離が短くなってしまいます。
ベテラン選手になるほどイン取りをする傾向が強くなることや、スタート展示のポジションや選手の特性によって枠なり崩れが起こるか、なども展開予想をする上でのポイントとなります。
スタート展示から枠なり崩れの前兆が見られると、1号艇もポジションを死守しようと早めのピット離れをして、結果的にポジション争いをした2艇とも助走が短くなりすぎてしまうこともあります。
絶好のスタートを切るためには、選手それぞれがコース順ごとに競艇場の中で目印を決めて、助走を取り始める場所に陣取らないといけません。競艇場によって若干異なりますが、主に1分40~50秒の待機行動時間があるため、その間にボートが前へ勝手に進む距離を計算してスタート位置に着かなければいけない、という難しさがあります。
適切な助走距離でないとスタート時に加速ができなかったり、フライングや出遅れを懸念してフル加速できない形になってしまい、好走するのが困難になります。

待機行動違反の種類

主な待機行動違反の種類は以下の通りです。

1コースに入る艇が2マークとの距離を空けすぎる(助走距離が短すぎる)
隣接する内側の艇との距離を空けすぎる
追突等(急な加減速で他艇に追突や妨害行為を行う)
転舵(接近している他艇に向けて舵を切って妨害する)
右転舵
ターンマークなどコース上の設備との接触(手で触るのもNG)
故意のエンスト
割り込み(150mの見透し線を過ぎてから内側に進入する)
逆航走(逆走)
待機行動違反の罰則

待機行動違反を行った選手には事故点が2点加算されます。
また、他の選手に著しい妨害(転覆させる)をするなど、重度の待機行動違反は失格となる場合もありますが、大半はそのままレースが続行されて着順通りに確定します。
軽微な違反の場合はレースが終了してからアナウンスされるだけに留まるなど、観客目線では分かりにくい場合も多いです。

なお、事故点は階級を決める半年の期間で累積され、出走数と事故点によって算出される事故率が0.7を超えると強制的にB2級へ降格となります。
フライングや出遅れのスタート事故(20点もしくは30点)に比べてペナルティが軽いため、選手によっては待機行動違反のリスクを顧みずに強気なコース取りをしてくるケースもあります。

フライングと出遅れ

TIMEの文字と時計

競艇は先行してレース運びをする優位性が非常に高く、好スタートを切って最初の1マークをトップで通過すれば高確率で勝つことができます。
また、公営競技の中では唯一、助走を取りながらスタートラインを通過するフライングスタートを採用しています。
当然、選手の誰もが良いスタートを切ろうとしますが、そこには厳しい規定があります。

フライングや出遅れをした場合、当該選手は失格となり、その舟番号を絡めた舟券は無効になって客に返還されます。
オッズの再計算など、運営やお客に与える損害が大きいため、選手には厳しいペナルティを科しています。ランクや累積された事故点によってペナルティは異なりますが、事故が多いと引退勧告されることもあるほど重大なものです。
単純なルールとしてだけではなく、フライングと出遅れの履歴から予想を組み立てることもできるので、選手側の罰則や心理もしっかり把握しておくようにしましょう。

理想的なスタートとは

1秒間というわずかな時間の中でスタートラインを通過しないといけません。早すぎても遅すぎてもアウトです。その中でも、なるべく0秒に近い、つまり早いタイムで通過するのが理想であり、その分有利になります。
時間内の通過ができたとしても、1秒に近い所、つまり遅いスタートを切ってしまうと上位に入るのは困難です。このことからもわかるように、競艇選手は0.01秒単位のシビアな戦いをしているのです。

競艇のスタートタイム(ST)の目安
0秒より早い フライングで失格
0.00秒~0.15秒 絶好のスタート、ST常連のプロ選手は平均ST0.15以下の選手も
0.17秒以下 この水準を下回る平均STだとスタートが得意な選手だと評価される
0.30秒以下 ライバル選手のスタート次第で十分戦える水準。コースが良ければトップを堅守可能
0.60秒以下 1コースでもこの水準になると外枠の選手に刺されるリスクが高まる。
0.61秒~0.99秒 ペナルティは取られないが上位に入るのが困難な水準
1.00秒以上 出遅れで失格

競艇ではスタートタイムのことを「ST」と表記し、選手ごとの平均STタイムが公開されています。
平均STタイムでスタートが得意かどうかをチェックすることは、買い目予想をする上で欠かせないポイントです。

スタート事故のペナルティ

レッドカードを出す男性

フライング(F)や出遅れ(L)など、選手事由によるスタート事故を起こした場合、該当選手は以下のペナルティを受けます。

一定の期間に1回でもあれば当該出場節の賞典レース除外
同一出場節2回目は即日帰郷
0.05秒以上早いタイミングのフライングは「非常識なフライング」として1回目でも即日帰郷
1回目のスタート事故を起こしてから100走以内に2回目を起こすとスタート再訓練
1回のフライングにつき20点(優勝戦は30点)の事故点が加算され、一定の事故率になると階級が下がる(事故率0.7以上でB2級へ降格)
一定期間内のフライング回数によって30~180日の出場停止処分(1回目でも30日の出場停止)
フライング事故があまりにも多い場合は引退勧告されることも
G2以上の重賞の準優勝戦・優勝戦でのスタート事故は、一定期間は特定の重賞に出走できない

スタート事故のペナルティは回数や事故を起こしたレースによって変わってきます。
短期間で事故を繰り返すことで罰則が厳しくなることから、直近でスタート事故を起こした選手は守りに入ったスタートを切ることが多いので注意しましょう。
一部のトップ選手は休みが少ないこともあり、長期休暇を得るために意図的にフライングをして30日の出場停止処分を受けようとする場合もあるようです。

このように、競艇予想では選手がどれだけフライングや出遅れのリスクを背負えるかを見極めることも重要です。
守りに入る選手だけではなく、フライングリスクを顧みずに捨て身の勝負を仕掛けてくる選手まで見抜ければ、他の人には見えない穴舟券を射止めることも可能になります。
優秀な競艇予想サイトは、こういった選手ごとの事故率や履歴、リスク許容度などを細かくデータ管理することにより、素人では成し得ない驚異的な的中率を実現しているのです。

レース

競艇では1周600mのコースを3周します。

左右にある杭の外側を走って周回するシンプルなオーバルコースです。
内側を取るのが有利ですが、外側からスピードを乗せてインを取ると、その後の直線で外側に膨らんでしまいます。
逆に内回りを重視した回り方をすると、スピードが乗りません。

6艇で混走するので、任意のポジションを取れるとは限らず、状況に応じてスピード調整、コーナリングのポジション、走行ラインの選定を上手に取れるかがポイントです。

後ろから前を走るボートを抜かそうとするとリスクのある走りをしないといけません。
攻めた結果、膨らみすぎて順位が下がってしまうこともあります。
ボートの性能が良いと直線で追いつくことができますし、マシンが悪くても乗り手が上手ければスピードを殺さずに効率的なラインを走れます。

1周目の順位通りで決着するケースが多く、レース中のスリルは競馬や競輪、オートレースに比べて少ないです。
その分、オーバーテイクした時の盛り上がりが大きくなります。